生命医科学研究科生命医科学研究科

免疫生物学研究室

免疫生物学研究室

概要

私たちの研究室では腸管免疫系の仕組みを明らかにするため、宿主側および腸内共生細菌側の両面からアプローチしています。宿主側では腸管の上皮細胞や抗原の取り込みに重要なM細胞の機能や分化に着目し、一方で腸内共生細菌が産生する代謝物が腸管免疫に及ぼす影響も解析しています。また、新しいリンパ球である2型自然リンパ球が、IL-5やIL-13といったTh2サイトカインを産生する事でアレルギーや感染、メタボリックシンドロームにおいてどのような働きをするかも明らかにしたいと思っています。

スタッフ

大学院客員教授 大野 博司(おおの ひろし)

<略歴>
1983年 千葉大学医学部卒, 1991年 千葉大学大学院修了(医学博士)
1999年 金沢大学がん研究所教授を経て
2013年 理化学研究所 グループディレクター
2005年より横浜市立大学大学院客員教授を兼任
<メッセージ>
免疫や腸内細菌に興味のある意欲ある学生の研究室への参加を期待しています。

大学院客員准教授  茂呂 和世(もろ かずよ)

<略歴>
2003年 日本大学歯学部卒業
2007年 慶應義塾大学医学研究科単位取得満期退学
2010年 博士号取得(医学)
2011年~ 科学技術振興機構 さきがけ研究員
2012年~ 理化学研究所 上級研究員
2013年~ 横浜市立大学大学院 客員准教授
2015年〜 理化学研究所 チームリーダー
2016年〜 横浜市立大学大学院 客員教授
<メッセージ>
なぜだろう?という疑問を持てる人であれば、生物学に詳しくない学生でも大歓迎です。なぜ病気になるのか、一緒に考えてみませんか?

大学院客員研究員 金谷 高史(かなや たかし)

<略歴>
2009年 東北大学大学院農学研究科修了、博士(農学)
2009年 理化学研究所 基礎科学特別研究員
2013年 理化学研究所 研究員
2013年 横浜市立大学大学院客員研究員
<メッセージ>
私たちの研究室ではそれぞれが独立したテーマを持ち、研究を続けています。アイディアさえあれば好きなことができると思いますので興味のある学生は一度研究室を訪ねてみて下さい。

研究内容

大野グループ

1.腸内細菌が作る酪酸が制御性T細胞への分化誘導のカギ
私たちは腸内細菌の炎症抑制のメカニズムの解明に取り組んでいます。本研究では、クロストリジウム目によってもたらされる代謝産物の1つである酪酸が制御性T細胞への分化の誘導に重要なFoxp3という遺伝子の発現を高めることで、未成熟なT細胞を制御性T細胞へと分化誘導していることを明らかにしました(図1)。
2.腸管内の抗原取り組み口「M細胞」の分化に必須な転写因子を発見
M細胞は腸管上皮細胞の一種であり、腸管上皮幹細胞から分化しますが、その分化を制御機構は不明でした。私たちはetsファミリー転写因子であるSpi-BがM細胞の分化を制御することを発見し、Spi-Bを欠損したマウスではM細胞が欠失することを見出しました。
3.腸管免疫応答に重要な細菌認識受容体を世界に先駆けて発見
M細胞で発現する「GP2」というタンパク質が、腸管免疫応答の誘導に重要な役割を果たす細菌受容体であることを世界で初めて発見しました。GP2を欠損したマウスでは特定の細菌に対して免疫応答が誘導されません。


茂呂グループ

1.新しいリンパ球「2型自然リンパ球」を発見
 これまで身体の中にはT細胞、B細胞、NK細胞、NKT細胞、LTi細胞という5つのリンパ球が存在することが分かっていました。私たちの研究室では、6つめのリンパ球としてGroup 2 innate lymphoid cell (ILC2:2型自然リンパ球)を見つけました。ILC2は、寄生虫感染や真菌の排除、恒常性の維持などいい役割も持っていますが、感染の少なくなった先進国ではアレルギーや肥満の誘導など悪い働きをしてしまいます(図2)。
2.ILC2は様々な疾患を引き起こす
 ILC2の解析が進むにつれ、この細胞が様々な疾患の増悪因子である事が明らかになってきました。喘息、花粉症、アトピーに加え、最近では肥満の原因になることで、II型糖尿病の悪化にも関わることが分かってきました。私たちの研究室ではILC2の働きを効果的に抑えることでこれらの疾患の予防、治療を目指しています。

主要文献(Selected Publications)

‣Moro K, Kabata H, Tanabe M, Koga S, Takeno N, Mochizuki M, et al. Interferon and IL-27 antagonize the function of group 2 innate lymphoid cells and type 2 innate immune responses. Nature immunology 2016
‣Furusawa Y, Obata Y, Fukuda S, Takaho A Endo, Nakato G, Takahashi D, Nakanishi Y, Uetake C, Kato K, Kato T, Takahashi M, Noriko N Fukuda, Murakami S, Miyauchi E, Hino S, Atarashi K, Onawa S, Fujimura Y, Trevor Lockett, Julie M Clarke, David L Topping, Tomita M, Hori S, Ohara O, Morita T, Koseki H, Kikuchi J, Honda K, Hase K, Ohno H. Commensal microbe-derived butyrate induces the differentiation of colonic regulatory T cells. Nature. 2014.
‣Kabata H, Moro K, Fukunaga K, Suzuki Y, Miyata J, Masaki K, Betsuyaku T, Koyasu S, Asano K. Thymic stromal lymphopoietin induces corticosteroid resistance in natural helper cells during airway inflammation. Nat Commun. 2013
‣Kanaya T, Hase K, Takahashi D, Fukuda S, Hoshino K, Sasaki I, Hemmi H, Knoop KA, Kumar N, Sato M, Katsuno T, Yokosuka O, Toyooka K, Nakai K, Sakamoto A, Kitahara Y, Jinnohara T, McSorley SJ, Kaisho T, Williams IR, Ohno H. The Ets transcription factor Spi-B is essential for the differentiation of intestinal microfold cells. Nat Immunol. 2012.
‣Moro K, Yamada T, Tanabe M, Takeuchi T, Ikawa T, Kawamoto H, Furusawa J, Ohtani M, Fujii H, Koyasu S. Innate production of Th2 cytokines by adipose tissue-associated c-Kit+Sca-1+ lymphoid cells. Nature. 2010
‣Hase K, Kawano K, Nochi T, Pontes GS, Fukuda S, Ebisawa M, Kadokura K, Tobe T, Fujimura Y, Kawano S, Yabashi A, Waguri S, Nakato G, Kimura S, Murakami T, Iimura M, Hamura K, Fukuoka S, Lowe AW, Itoh K, Kiyono H, Ohno H.
Uptake through glycoprotein 2 of FimH+ bacteria by M cells initiates mucosal immune response. Nature. 2009.




研究部門