産学連携

産学連携糖鎖解析ハブ

バイオ医薬品や、細胞・組織・血液など生体内のタンパク質の多くは糖鎖修飾されています。バイオ医薬品の糖鎖は、安定性、薬理作用、薬物動態、免疫原性など品質・有効性・安全性に影響することが知られています。細胞の糖鎖は、分化、機能、接着など様々な生命現象に関係しています。また、組織や血液中のタンパク質の糖鎖は、疾患などで変化することから、診断マーカー候補として注目されています。しかし、糖鎖の構造は複雑で不均一性があるため、解析は容易ではありません。創薬再生科学研究室では、「産学連携糖鎖解析ハブ」として、様々な糖タンパク質の糖鎖解析の共同研究や受託分析を行っています。

■糖鎖解析の流れ
糖タンパク質をトリプシン等で消化した後、そのまま、または糖ペプチドを回収し、LC/MS/MS で解析します。

■産学連携糖鎖解析ハブでわかること
糖鎖修飾部位ごとの糖鎖の種類と分布がわかります。

■他社(受託機関)と違う点
一般に、糖タンパク質の糖鎖は、遊離糖鎖として解析されますので、糖鎖修飾部位に関する情報は失われてしまいます。糖鎖解析ハブでは、糖ペプチドとして解析しますので、糖鎖修飾部位ごとの糖鎖の種類と分布が分かります。

■CMOとの連携
横浜バイオリサーチアンドサプライ社との連携により、バイオ医薬品候補タンパク質の製造から糖鎖分析まで、さらに、GMP対応SOPのご提案まで可能となります。

■実績
抗体医薬品(A社、B社)、融合タンパク質(C社)、三量体糖タンパク質(D社)。

■モデル糖タンパク質による解析例

1.抗体医薬品セツキシマブの糖鎖解析
セツキシマブの糖鎖修飾部位は2箇所あります。遊離糖鎖解析では、修飾部位ごとの糖鎖構造と分布を解析できないため、糖ペプチドとして糖鎖解析します。セツキシマブをトリプシン単独で消化し、糖鎖を1本もつ糖ペプチドを得ます。


LC/MS/MSにより、糖ペプチドのプロダクトイオンスペクトルを取得します(上段:糖ペプチド①,下段:糖ペプチド②)。


各グリコフォームのピーク面積値を算出することで、付加部位ごとの糖鎖プロファイルを明らかにできます。















■CHO-S細胞産生ヒトラミニン-511 E8フラグメントの糖鎖解析
ラミニン-511 E8フラグメント (LM511E8) はα鎖、β鎖、γ鎖からなり、インテグリンα6β1に結合します。CHO-S細胞産生組換えLM511E8は、ES細胞やiPS細胞の培養基質として利用されています。 LM511E8には糖鎖修飾部位が10箇所あります。LM511E8をリシルエンドペプチダーゼ (Lys-C)、トリプシン、グルタミルエンドペプチダーゼ (Protease V8)を単独、または組み合わせて消化することにより、修飾部位ごとの糖鎖プロファイルを明らかにできます。

 

 

Relative Peak Area (%)
:(K) MNSLQSNDTAIYYCAR (A)
:(R) EEQYNSTYR (V)
糖ペプチド①(Fab領域)
糖ペプチド②(Fc領域)