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シンポジウム&領域会議

X 線溶液散乱講習会
「X線溶液散乱によるタンパク質の構造解析法の基礎的理解」のご報告。



平成24年9月12−13日に開催された若手人材育成講習会「X線溶液散乱によるタンパク質の構造解析法の基礎的理解」には、定員をオーバーしたくさんの方が参加していただき盛況でした。ここに、領域代表の佐藤衛のご挨拶と、参加者の宮野菜央さんの感想文を掲載します。また、講習会の様子を写した写真も合わせて掲載します。ぜひご覧下さい。

シンポジウムの感想



 ご挨拶
新学術領域研究「天然変性タンパク質」では、タンパク質分子全体が大きく揺らいだ天然変性タンパク質に注目して、このような大きく揺らいだタンパク質がどのような機構で構造や機能が異なる複数のターゲット分子を認識し機能を発現するかを理論的・実験的に研究しています。X線溶液散乱法は、タンパク質やタンパク質複合体のナノ解像度での溶液構造解析に有効な手段ですが、結晶構造解析やNMR構造解析などの測定手法や分子動力学シミュレーションなどの理論計算との併用によって、これまで踏み込むことが困難であった天然変性タンパク質の原子レベルでの動的構造解析についても非常に有効な手段であると期待されています。当該領域研究では、次世代の生命科学の礎となる物理学・化学・生物学が融合した新しい学際的な研究領域の創造を目指して、様々な若手人材育成のためのプログラムを企画してきましたが、今回、創薬等支援技術基盤プラットフォーム解析拠点解析領域、理化学研究所・放射光科学総合研究センター、理研RSC-リガク連携センター及びSPring-8ユーザー協同体などの多くのご協力のもと、平成24年9月12日から13日の二日間、SPring-8 SACLA実験研究棟大会議室で「X線溶液散乱によるタンパク質の構造解析法の基礎的理解と題する若手人材育成講習会を開催しました。参加者は87名で、過去2回の講習会を大きく上回り、たいへん盛況でした。このような講習会を通じて数多くの若手研究者が育ち、新しい学際的な研究領域が創造されていくことを期待したいと思います。

領域代表:佐藤 衛





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〈 シンポジウムの感想 〉

講習会に参加して 

2012年9月にSPring-8にてX線溶液散乱講習会「X線溶液散乱によるタンパク質の構造解析法の基礎的理解」が行われました。最近X線溶液散乱実験の話を聴く機会が多く、興味を持ち始めていた私はすぐに参加申し込みをしました。
講義は8人の先生方により行われました。まず、1日目は佐藤先生、中迫先生によってタンパク質の"動き"がタンパク質の反応機構を解明する上で重要であるということ、静的構造や生化学的な実験結果から得られる情報に加え、この"動き"をとらえることで反応機構の理解が飛躍的に進むことを学びました。そして本題である、その"動き"をとらえるためのX線溶液散乱についての基礎理論解説へと講義は進みました。講義は平易な言葉で説明していただけたため、知識の浅い私にも理解できた部分も多く、今後X線溶液散乱を学ぶための基盤とすることができました。その後は、苙口先生、池口先生、杉山先生による分子動力学シミュレーションとの組み合せや中性子溶液散乱といった溶液散乱を応用した研究についての講義があり、私には目新しいことばかりで、実験の幅を広げるヒントがたくさんあるようで大変興味深い内容でした。2日目には松本先生、引間先生、山本先生より、これら実験を行うにあたっての実験設備や測定法、データ解析の流れなどの詳しい説明があり、何をどれくらい準備すればよいのかなどわからなかったことが、イメージできるようになりました。X線溶液散乱の基礎から利点や実際の測定手順までを含んだ本講習会は、私のような「X線溶液散乱を自分の研究に取り入れたいな」と思っていた参加者にとって、大きな一歩となったのではと思います。大変勉強になった2日間でした。ありがとうございました。
今後も基礎から学べるこのような講習会の定期的な開催を期待します。


JASRI / SPring-8 宮野 菜央


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