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シンポジウム&領域会議

第11回日本蛋白質科学会年会ワークショップ
"Intrinsic Protein Disorder and Post-Translational Modifications"の報告。



2011年6月7日-9日に、ホテル阪急エキスポパークにて、第11回日本蛋白質科学会年会ワークショップ "Intrinsic Protein Disorder and Post-Translational Modifications"が、開催されました。


< シンポジウムの報告 >
第11回日本蛋白質科学会のワークショップに参加して

第11回日本蛋白質科学会年会が2011年6月7日~9日ホテル阪急エキスポパークにて開催されました。名古屋大学の太田元規先生、東京大学の新井宗仁先生が「Intrinsic Protein Disorder and Post-Translational Modifications」のワークショップを主宰し、私は口頭発表をさせていただきました。このIDPのセッションは本学会における唯一の英語発表でのワークショップであり、蛋白質科学会におけるこうした試みは非常に稀でありました。
本ワークショップではDr. Jianhan Chen (Kansas State University) とDr. Tanja Mittag (Hospital for Sick Children, Toronto) を海外から招待し、講演をしていただきました。Jianhan Chenは天然変性タンパク質のMixed atomistic and coarse-grained simulationsによる解析例などについて、Tanja Mittagは細胞周期の制御に関与する天然変性タンパク質であるSic1とCdc4のリン酸化修飾による相互作用の制御について講演されました。また楯真一先生 (広島大学) はクロマチンリモデリング因子のFACTのID領域のリン酸化による機能制御のNMRによる解析、笹井理生先生 (名古屋大学) はID領域のアロステリック転移に関する講演をされました。
私はエピジェネックな情報の読み取りに関与するUHRF1タンパク質の構造生物学的な研究成果を発表しました。我々やTanja Mittagのデータが示すように、ID領域の翻訳後修飾はタンパク質-タンパク質相互作用の制御に重要な機能を果たしている例が多くあります。ID領域の構造のflexibleさが多種多様な翻訳後修飾を受けけるための基盤となっており、機能変換の場 (ハブ) として極めて重要な働きをしていると考えられます。
今回のワークショップに参加して、天然変性蛋白質の研究の特徴が、構造生物学・分子生物学・情報生物学など多種多様な分野の研究者がそれぞれの独自の視点から天然変性蛋白質の解明に取り組んでいる点であると改めて感じました。分野をまたいだ研究者が情報・技術を交換し共有していくことによって、相乗的に天然変性蛋白質の研究は発展をしていくと感じました。そうした中で、様々な領域の研究者が参画している本新学術領域が天然変性タンパク質の研究基盤を築いていく役割を担っていると思います。これまで私が結晶構造学者として避けて通ってきたタンパク質構造中のflexibleな領域に多くの機能 (宝物?) が眠っていると感じています。私が研究対象にしているUHRF1タンパク質の構造ドメイン間のID領域は、他のタンパク質との相互作用や、UHRF1自身の構造ドメインの機能を結びつけていると考えられています。UHRF1のID領域がどのようにエピジェネティックな情報の継承に関与しているかを他分野の研究者の知識と技術を交えながら構造生物学的な観点から明らかにしていきたいと考えています。
京都大学 大学院工学研究科 有田 恭平




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