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新学術領域研究「天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現」第1回公開シンポジウムが開催されました。


2010年1月19日に「天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現」第1回公開シンポジウムが開催され、100名を越える大勢の方に参加して頂きました。

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< プログラム >


佐藤 衛 (横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科)
「天然変性タンパク質の動的構造解析への挑戦」
安藤 敏夫
(金沢大学数物科学系)
「タンパク質の天然変性領域の高速AFM観察と今後の展望」
明石 知子
(横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科)
「天然変性タンパク質の構造解析-質量分析によるアプローチ-」
西村 善文
(横浜市立大学大学院生命ナノシステム科学研究科)
「天然変性タンパク質の認識機構と合理的創薬」
柴田 武彦
(理化学研究所)
「組換えメディエーターの新機能探索と天然変性領域」
石野 良純
(九州大学大学院農学研究院)
「DNA 複製フォーク進行に関与するタンパク質の天然変性領域の役割解明を目指して」
太田 元規
(名古屋大学大学院情報科学研究科)
「天然変性タンパク質のデータベース構築と解析」
肥後 順一
(大阪大学臨床医工学融合研究教育センター)
「天然変性蛋白質NRSFはパートナー蛋白質Sin3の存在下のみでヘリックス構造をとる-全原子マルチカノニカル計算-」





< シンポジウムの様子 >







< シンポジウムレポート >
名古屋大学・大学院・情報科学研究科 M1 黒木 隆博
 1月19日に理化学研究所横浜研究所(鶴見)にて、新学術領域研究「天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現」第1回公開シンポジウムが行われた。この領域研究では、構造生物学、分子生物学、情報生物学の3グループが存在し、それぞれ異なったアプローチで天然変性タンパク質の研究を行っている。シンポジウムでは、各々のグループに所属する8名の研究者によって研究内容の報告がされた。
 構造生物学のグループでは、MD-SAXS法と高速AFM法の応用手法として、天然変性タンパク質の構造解析法の開発に関する研究や、ESI-MSを用いた天然変性タンパク質の分析に取り組んでいる。
 分子生物学のグループでは、相同DNA対合を行う酵素に着目し、酵素が相互作用時に働く天然変性領域の機能・制御の解析を行う研究や、古細菌のDNA複製・修復系に関わる因子と天然変性領域の関連性の解析を行う研究に取り組んでいる。
 情報生物学のグループでは、アノテーションの充実した天然変性タンパク質データベースの開発、マルチカノニカルMD法を用いた計算機シミュレーションによる天然変性タンパク質の解析に取り組んでいる。
 私も天然変性タンパク質の研究を行っているので、興味深い研究が多く、特に計算機による研究を主に行っている私にとって、実験的なアプローチによる天然変性タンパク質の研究法を知ることができたのは大変参考になった。また、天然変性タンパク質に関する本格的な研究が日本でも始まったことを体感できた。可能ならば、第2回公開シンポジウムにも参加したい。
横浜市立大学・生命ナノシステム科学研究科 D1 吉澤 拓也
 理研横浜研究所にて開催された、新学術領域研究「天然変性タンパク質の分子認識機構と機能発現」第1回公開シンポジウムに参加した。この領域研究は、天然変性タンパク質を対象にした、構造生物学、分子生物学、情報生物学の融合研究である。天然変性タンパク質は、真核細胞に多く存在し、特に核内タンパク質においては、約半数が天然変性領域を持つタンパク質であると予想されている。それらは、転写、修復、複製、組み換えなど重要な細胞機能に関わっている。したがって、天然変性タンパク質のターゲット認識、構造形成、機能発現を理解することが必要とされてきている。しかし、既存の研究手法で天然変性タンパク質を理解するには限界がある。
私は、博士論文研究でタンパク質のX線結晶構造解析を行っているため、構造生物学的な方法論の開発に興味を持った。構造生物学的な方法論としては、X線溶液散乱と分子動力学シミュレーションを組み合わせたMD-SAXS、超高速AFMによる1分子動的解析、イオンモビリティを利用した質量分析などが紹介された。MD-SAXS法は、互いの苦手な点を補い合った動的構造解析法である。超高速AFMはリアルタイムにタンパク質の動きを見ることができるため、天然変性タンパク質の構造形成を可視化できる。イオンモビリティ分離を利用すると、試料イオンをm/zだけでなく、試料の形状で分離できる。このような新たな研究手法は、天然変性タンパク質に限らず、今後のタンパク質研究を大きく変えるだろうと感じた。


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