構造創薬科学研究室学振特別研究員の矢口敦也さんが、第52回生体分子科学討論会・第5回生命金属科学シンポジウム(合同開催)にて、ポスター発表優秀賞を受賞!
2026.06.22
- TOPICS
- 研究
細菌培養用培地を添加により直接ゲル化可能な低分子ペプチドゲル化剤の開発に成功
構造創薬科学研究室所属の学振特別研究員矢口敦也さんが2026年5月14日(木)~16日(土)に兵庫県姫路市(会場: イーグレひめじ)にて開催された第52回生体分子科学討論会・第5回生命金属科学シンポジウム(合同開催)において、ポスター発表優秀賞を受賞しました。合同シンポジウム期間内のポスター発表より最優秀のポスター発表に「ポスター発表優秀賞」が授与されます。おめでとうございます。
受賞者
生命医科学研究科 構造創薬科学研究室
学振特別研究員
矢口 敦也 さん
受賞内容
第52回生体分子科学討論会・第5回生命金属科学シンポジウム(合同開催)
ポスター発表優秀賞
発表タイトル
「細菌培養培地を直接ゲル化可能な新規自己集合性ペプチドの開発および構造解析による理解」
生命医科学研究科 構造創薬科学研究室
学振特別研究員
矢口 敦也 さん
受賞内容
第52回生体分子科学討論会・第5回生命金属科学シンポジウム(合同開催)
ポスター発表優秀賞
発表タイトル
「細菌培養培地を直接ゲル化可能な新規自己集合性ペプチドの開発および構造解析による理解」
今回受賞したポスター発表の研究内容について矢口さんに解説していただきました。
本発表研究は、直径がナノスケールのファイバーへと自発的に集合する自己集合性ペプチド*1を新たに開発し、細菌培養用培地をゲル化させることで、細菌のゲル内培養へと応用したものです。細菌は、地球上のあらゆる場所に存在しており、人々の生活とも密接に関わっています。例えば、乳酸菌や大腸菌などのヒトの健康に関わる細菌や、サルモネラ菌や黄色ブドウ球菌などのヒトに有害な細菌などが挙げられます。このような細菌の働きを調べるため、自然界類似の環境を研究室で再現して培養することは、重要な視点の一つです。一方で、その環境を模倣したゲル状物質の中で細菌を培養した後、ゲルから細菌を取り出す方法は限定的であり、培養の全体像を捉えるのが困難であるという課題がありました。
そこで本研究では、細菌培養培地をゲル化可能な自己集合性ペプチドの開発を行いました。開発ペプチドからなるゲルは、モデルとして選択した乳酸菌が生存可能な温度範囲内の熱に応答してゲルゾル転移*2しました。その後常温に戻しても一定時間ゾル状態を保持したため、この間にフローサイトメトリー*3で分析することができました。さらに、開発ペプチドが集合してできたファイバーをクライオ電子顕微鏡*4で観察し構造解析することで、細菌培養培地をゲル化可能なペプチドの分子設計指針を得ることができました。本研究は、細菌の働きを調べる新規手法としての可能性を示したものです。
そこで本研究では、細菌培養培地をゲル化可能な自己集合性ペプチドの開発を行いました。開発ペプチドからなるゲルは、モデルとして選択した乳酸菌が生存可能な温度範囲内の熱に応答してゲルゾル転移*2しました。その後常温に戻しても一定時間ゾル状態を保持したため、この間にフローサイトメトリー*3で分析することができました。さらに、開発ペプチドが集合してできたファイバーをクライオ電子顕微鏡*4で観察し構造解析することで、細菌培養培地をゲル化可能なペプチドの分子設計指針を得ることができました。本研究は、細菌の働きを調べる新規手法としての可能性を示したものです。
矢口敦也さんのコメント
このたびは、ポスター発表優秀賞を賜り、大変光栄に存じます。本研究を進めるにあたりご支援いただいた皆様、ならびに本会の運営に携わられた皆様に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。本研究で開発したペプチド材料は、ゲル化させる培地を変えることで対象となる細菌種を限定せず、幅広い実験系に応用できる可能性を有しています。今回の受賞を励みに、本研究をさらに発展させ、次なる研究成果の創出に邁進してまいります。
用語説明
*1 ・・・・自己集合性ペプチド:溶液に添加すると自発的に集合し、規則性を持った集積体を構築するペプチド。
*2 ・・・・ゲルゾル転移:網目構造により流動性が低く、溶媒を保持した固体状の「ゲル(ジェル)」が、流動性のある液体状の「ゾル」に変化する現象。本研究では、温度変化によるペプチド分子の運動性の違いを利用した。
*3 ・・・・フローサイトメトリー:直径数百μm程度の流路に液体を流し、その液体中の粒子(本研究では細菌)の特性を1つずつかつ迅速に計測する手法。光源による散乱や蛍光を利用して計測する。
*4 ・・・・クライオ電子顕微鏡:水中の物質を急速凍結し、液体窒素温度下(-196℃)で電子顕微鏡観察する方法。水中に近い環境での物質の構造を観察できる。得られた電子顕微鏡像から目的分子の立体構造を明らかにできる。
*2 ・・・・ゲルゾル転移:網目構造により流動性が低く、溶媒を保持した固体状の「ゲル(ジェル)」が、流動性のある液体状の「ゾル」に変化する現象。本研究では、温度変化によるペプチド分子の運動性の違いを利用した。
*3 ・・・・フローサイトメトリー:直径数百μm程度の流路に液体を流し、その液体中の粒子(本研究では細菌)の特性を1つずつかつ迅速に計測する手法。光源による散乱や蛍光を利用して計測する。
*4 ・・・・クライオ電子顕微鏡:水中の物質を急速凍結し、液体窒素温度下(-196℃)で電子顕微鏡観察する方法。水中に近い環境での物質の構造を観察できる。得られた電子顕微鏡像から目的分子の立体構造を明らかにできる。


