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大学院生保科隼佑さんが、第10回アジア・オセアニア質量分析会議にてポスター賞を受賞!

2025.08.20
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 生命医科学研究科 博士後期期課程2年 保科隼佑さんが2025622日(日)-625 () に沖縄県石垣島で開催されたアジア・オセアニア質量分析会議において、「Quantitative Proteomics of Post-Translational Modification in Parkinson’s Disease Model Cells」について発表し、ポスター賞を受賞しました。おめでとうございます!
 「ベストプレゼンテーション賞」には約180人が応募し、12人がポスター賞を受賞しました。


受賞者
生命医科学研究科 博士後期課程2年
創薬再生科学研究室所属
保科隼佑ほしな しゅんすけ さん *SPRING事業支援学生

指導教員
大学院生命医科学研究科
創薬再生科学研究室 川崎 ナナ教授

受賞内容
アジア・オセアニア質量分析会議
ベストプレゼンテーション賞ポスター賞

発表タイトル

「Quantitative Proteomics of Post-Translational Modification in Parkinson’s Disease Model Cells」
  日本語訳:「パーキンソン病モデル細胞を用いた定量翻訳後修飾プロテオミクス」

ー今回受賞した研究内容について保科さんに解説していただきました。

 今回は、パーキンソン病 (PD) の家族性変異であるLRRK2 G2019S変異を有するPDモデル細胞におけるリン酸化及びO-GlcNAc修飾ペプチドの量的変動を健常モデル細胞と比較解析し、修飾量の変動により影響を受けると考えられた分子メカニズムについて発表しました。
タンパク質の翻訳後修飾 (PTM) は、タンパク質が正しく機能するために重要です。そのため、異常な修飾は、疾患の発症や進行に寄与します。特にPDでは、リン酸化とO-GlcNAc修飾における異常が報告されており、脳内に凝集化タンパク質を沈着させる要因の一つと考えられています。しかし、PTMは微量で、定量解析の実施が困難でありました。そこで、本研究では、LC/MS/MSで事前に同定したPTMペプチドのスペクトル情報からスペクトルライブラリを作成する手法を応用し、PDモデル細胞と健常細胞内のPTMペプチド量を比較解析しました。結果として、ATMキナーゼの活性低下を介して、O-GlcNAc修飾量の減少、ミトコンドリアの呼吸機能低下によるDNA損傷、加えてDNA修復機能の低下が示唆されました。本研究は、疾患分子メカニズムの理解に繋がると共に、新しい創薬標的探索への応用が期待されます。

本受賞について、保科さんと指導教員の川崎先生からコメントをもらいました。

受賞者: 保科 隼佑さんのコメント

 この度は、多くの発表の中から名誉ある賞に選出いただき、大変光栄に存じます。川崎ナナ先生をはじめとする、創薬再生科学研究室の皆様からの熱心なご指導・ご協力の賜物です。この場をお借りして、心より厚く御礼申し上げます。また、博士後期課程の学生をご支援くださっているSPRING事業に深く感謝申し上げます。
 第10回アジア・オセアニア質量分析会議には、20を超える国・地域から多くの研究者が参加していました。私は修士1年生から英会話を習い続けてきましたため、自ら話しかけディスカッションをしたことで、貴重なご意見、ご質問を頂戴することができました。本会の経験を基に、今後もより一層研究に精進いたします。

指導教員:川崎ナナ 教授のコメント

 これまでも数々の受賞歴をお持ちですが、第10回アジア・オセアニア質量分析会議という国際学会での受賞、誠におめでとうございます。パーキンソン病モデル細胞の機能低下と翻訳後修飾異常に関連性を見出された意義深いご発表だったと思います。この成果を励みに、論文執筆にも一層力を注いでください。

 

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