博士前期課程1年 梅澤遥佳さんが、2025年度 韓国蛋白質科学会&日本蛋白質科学会合同国際会議において、ポスター賞を受賞!
2025.07.14
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生命医科学研究科 博士前期課程1年 構造創薬科学研究室所属の梅澤遥佳さんが、2025年6月20日~22日にアクリエひめじ(兵庫県姫路市)で開催された2025年度 韓国蛋白質科学会(KSPS)&日本蛋白質科学会(PSSJ)合同国際会議において、「Structural basis for the mechanisms of complex assembly by the Influenza A virus nucleoprotein and importin」について発表し、ポスター賞を受賞しました。

受賞者
生命医科学研究科 博士前期課程1年
構造創薬科学研究室所属
梅澤 遥佳 さん
指導教員
大学院生命医科学研究科
構造創薬科学研究室 朴 三用 教授
受賞内容
令和7(2025)年度 韓国蛋白質科学会(KSPS)&日本蛋白質科学会(PSSJ)合同国際会議 ポスター賞
発表タイトル
「Structural basis for the mechanisms of complex assembly by the Influenza A virus nucleoprotein and importin」
(和題:インフルエンザウイルス核タンパク質NPとインポーチン複合体形成機構の構造基盤)
生命医科学研究科 博士前期課程1年
構造創薬科学研究室所属
梅澤 遥佳 さん
指導教員
大学院生命医科学研究科
構造創薬科学研究室 朴 三用 教授
受賞内容
令和7(2025)年度 韓国蛋白質科学会(KSPS)&日本蛋白質科学会(PSSJ)合同国際会議 ポスター賞
発表タイトル
「Structural basis for the mechanisms of complex assembly by the Influenza A virus nucleoprotein and importin」
(和題:インフルエンザウイルス核タンパク質NPとインポーチン複合体形成機構の構造基盤)
ー今回受賞した研究内容について梅澤さんに解説していただきました。
インフルエンザは1918年のスペイン風邪に始まり、現在も世界中で猛威を振るう感染症です。このウイルスの厄介な特徴は、ウイルスの遺伝情報が記録されているウイルスRNAが非常に変化しやすいことです。この変化(変異)が既存の薬剤への耐性を与え、効かなくなる可能性があります。そのため、インフルエンザウイルスの感染の仕組みへのさらなる理解と、こうした知見を生かして新たな薬を創出することが求められています。
私たちが今回注目したのは、インフルエンザウイルスの「核タンパク質(NP)」というタンパク質です。NPは、ウイルスの設計図であるウイルスRNAを巻き付けて安定化させることで保護する役割を担っています。NPは宿主細胞の核の中でウイルスRNAから転写され、細胞質で翻訳された後、核内へと移動し、複製されたウイルスRNAの安定化に務めます。この核への移動には、宿主細胞の核移行タンパク質「インポーチン(Importin)」という輸送タンパク質が関わることが分かっていましたが、具体的にどのように結合し、核内へ輸送されるのかは謎のままでした。
そこで本研究では、クライオ電子顕微鏡単粒子解析法を用いてNPとImportinの複合体の立体構造の解明に取り組みました。NPの核移行はウイルスの増殖に不可欠であることから、この過程で中心的な役割を担う宿主タンパク質ImportinとNPの結合様式を構造学的に理解することは、SBDD(Structure-Based Drug Design:構造ベース創薬)につながる重要な知見であると考えています。本研究の成果が、インフルエンザウイルスNPを標的とした新たな治療薬の開発につながることを期待します。
私たちが今回注目したのは、インフルエンザウイルスの「核タンパク質(NP)」というタンパク質です。NPは、ウイルスの設計図であるウイルスRNAを巻き付けて安定化させることで保護する役割を担っています。NPは宿主細胞の核の中でウイルスRNAから転写され、細胞質で翻訳された後、核内へと移動し、複製されたウイルスRNAの安定化に務めます。この核への移動には、宿主細胞の核移行タンパク質「インポーチン(Importin)」という輸送タンパク質が関わることが分かっていましたが、具体的にどのように結合し、核内へ輸送されるのかは謎のままでした。
そこで本研究では、クライオ電子顕微鏡単粒子解析法を用いてNPとImportinの複合体の立体構造の解明に取り組みました。NPの核移行はウイルスの増殖に不可欠であることから、この過程で中心的な役割を担う宿主タンパク質ImportinとNPの結合様式を構造学的に理解することは、SBDD(Structure-Based Drug Design:構造ベース創薬)につながる重要な知見であると考えています。本研究の成果が、インフルエンザウイルスNPを標的とした新たな治療薬の開発につながることを期待します。
本受賞について、梅澤さんと指導教員の朴先生からコメントをもらいました。
受賞者: 梅澤 遥佳 さんのコメント
このたびは名誉ある賞に選出いただき、さらにポスター発表賞の受賞者として英語での口頭発表の機会を賜り、誠に光栄に思います。研究を遂行するにあたり、多大なるご指導・ご支援をいただきました、朴三用教授、石本直偉士助教をはじめ、共同研究者の皆様、ならびに構造創薬科学研究室の皆様に、心より御礼申し上げます。
2025年度韓国蛋白質科学会(KSPS)&日本蛋白質科学会(PSSJ)合同国際会議は、私にとって初めての学会発表の機会であり、構造生物学の分野で活躍される研究者や同世代の学生の発表から、多くの刺激と学びを得ることができました。この貴重な経験を糧に、今後もさらなる研鑽を重ねてまいります。
2025年度韓国蛋白質科学会(KSPS)&日本蛋白質科学会(PSSJ)合同国際会議は、私にとって初めての学会発表の機会であり、構造生物学の分野で活躍される研究者や同世代の学生の発表から、多くの刺激と学びを得ることができました。この貴重な経験を糧に、今後もさらなる研鑽を重ねてまいります。
指導教員:朴三用 教授のコメント
梅澤さん、受賞おめでとうございます。学部2年生のときに「理数マスター育成プログラム」の学生として当研究室に所属し、熱心に研究に取り組んでくださった結果、このような受賞に至ったことを大変嬉しく思います。今後もさらに研究を発展させてくれることを期待しています。また、この場をお借りして、筑波大学の共同研究者の皆様に心より御礼申し上げます。