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生命医科学研究科 永沼美弥子さん、第39回メディシナルケミストリーシンポジウムにてMCS優秀賞を受賞

2023.01.13
  • TOPICS
  • 研究
  • 学生の活躍

生命医科学研究科 創薬有機化学研究室所属の永沼美弥子さん、第39回メディシナルケミストリーシンポジウムにおいてMCS優秀賞を受賞しました。

生命医科学研究科 博士後期課程2年(創薬有機化学研究室所属)の永沼 美弥子さんが、2022年11月23日(水)~25日(金)にオンラインで開催された第39回メディシナルケミストリーシンポジウムにおいて、MCS優秀賞を受賞しました。
論文著者
生命医科学研究科 博士後期課程2年
創薬有機化学研究室所属
永沼ながぬま  美弥子  みやこ さん

指導教員
生命医科学研究科 出水庸介客員教授

発表タイトル
標的リガンドにオリゴヌクレオチドを応用したPROTACの創製

—今回、受賞した論文の研究内容について永沼さんに解説していただきました。

ここ20年ほどで、様々な細胞内タンパク質を標的とするPROTAC / SNIPERが盛んに研究開発されてきました。PROTACは、ユビキチンリガーゼリガンドと標的タンパク質リガンドを適切なリンカーを介して連結したキメラ分子であり、生体内のタンパク質分解機構であるユビキチン-プロテアソームシステム(UPS)を利用することで、標的タンパク質をプロテアソームによって強制的に分解誘導することが可能な革新的な作用機序を持つ分子です。現在、PROTACは臨床試験も実施されており、国内外で盛んに研究開発されていますが、一部の最適なリガンドが存在しない転写因子などのタンパク質に対しては、既存のPROTACでは適応が困難です。
一方で、転写因子にはDNA結合領域が存在し、ヒト転写因子において、この領域に結合可能なDNA配列が明らかとなっています。そこで、本研究ではPROTACの適応範囲拡大を目指し、標的リガンドにDNA結合領域に結合可能なデコイ核酸(DNA)を用いたデコイ型PROTACを開発することで転写因子の分解を可能にしました。開発したPROTACは、転写因子の一つであるERαをUPSによって分解することが明らかとなりました。本研究で提案したデコイ型PROTACによって、標的とすることが可能なタンパク質の幅が拡大と、標的とする転写因子の分解に伴うタンパク質の機能解明のためのケミカルツールへの応用が期待できると考えています。

永沼 美弥子さんのコメント

この度は、MCS優秀賞という名誉ある賞を受賞することができ、大変光栄に思っています。メディシナルケミストリーシンポジウムは、創薬化学分野最大の学術会議であり、アカデミア以外にも日本の名だたる製薬企業の方が多数参加されるシンポジウムです。発表を通じて、企業研究者の方からの企業目線でご意見を頂く機会にも恵まれ、非常に多くの方とディスカッションができ、大変勉強になりました。 改めまして、シンポジウムの関係者の皆様には、発表の機会と栄誉ある賞に選出頂き、感謝申し上げます。また、本研究の遂行にあたり、日頃からご指導頂いている出水先生、共同研究としてお世話になりました国立医薬品食品研究所 遺伝子医薬部の大岡先生の他、ご支援頂いた皆様に深く感謝申し上げます。

指導教員の出水 庸介客員教授のコメント

永沼さん、MCS優秀賞の受賞おめでとうございます!
MCS優秀賞は、日本薬学会医薬化学部会が主催する創薬化学分野最大の学術会議であるメディシナルケミストリーシンポジウムにおいて、優れた完成度の高い研究成果や萌芽的研究に対して贈られる栄誉ある賞です。歴代の受賞者の中でも大学院生の受賞は数名しかおらず、数多くの発表演題の中で永沼さんの研究成果が唯一アカデミア界から選出されました。
今回の受賞を糧にして益々の発展を期待しています。
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