The Essential PB1-PB2 subunit contact of the influenza virus RNA polymerase

June 17, 2009

 

インフルエンザはインフルエンザウイルスが感染することにより発症する感染症である。季節性のインフルエンザは、1週間程度で完治するが、時折、感染力や病原性の非常に強いウイルスが出現し、世界的な大流行(パンデミック)を起こすことがある。一番最近のパンデミックである、2008年から流行した新型ウイルスは、感染性が強いものの毒性が弱いため多数の死者を出す事態には至らなかった。しかし、近い将来、高い毒性を示す新型インフルエンザウイルスが出現するのではないかと危惧されており、新たな薬剤の開発が待ち望まれている。

 インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼはウイルス遺伝子複製と転写を行う、ウイルスの生存に必須なタンパク質であり、この蛋白質を阻害する化合物は非常に効果的な薬剤になると考えられている。設計科学研究室では、RNAポリメラーゼが3つのサブユニット(PA, PB1, PB2)の複合体であり、それらのサブユニットのうちどれか1つでも欠けるとタンパク質が活性を失い、ウイルスが増殖できなくなる事に注目し、サブユニットの結合部位のX線結晶構造解析を行った。その結果、転写に関わるサブユニットであるPB1とPB2は、ほんの数残基のアミノ酸による疎水性相互作用によって結合していることが明らかになり、このアミノ酸を変異させるとRNAポリメラーゼの活性が抑えられることがわかった。

 
 

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