Research
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オートトランスポータータンパク質の立体構造解析
病原性細菌が分泌する巨大なタンパク質に、オートトランスポーター(AT)と呼ばれるグループがある。ATにはプロテアーゼ、 外毒素、細菌の付着因子など様々なものが含まれ、その多くが病原性細菌の病原因子であり、巨大な分子量を持つ。ATは他の タンパク質分泌機構とは異なる際だった特徴を持つ。病原性細菌はこの分泌機構を欠損すると、病原性タンパク質を細胞外に分泌できないために病原性を発揮できないことが分かっており、この分泌機構の活性を阻害するような薬剤を開発することで、細菌感染症を防ぐことができると考えられる。 本研究室ではATタンパク質の構造、及び分泌機構解明の研究を行っている。
インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼの立体構造解析
インフルエンザは、ウイルスの感染によって引き起こされる病気である。ヒトが感染すると、高熱や関節痛、 倦怠感などの全身症状や、喉の痛みや咳などの呼吸器系の症状を示す。近年では、高病原性である鳥インフルエンザの人への感染により、 かつて世界で数千万単位の死者を出したような世界的大流行が起こることが懸念されている。インフルエンザウイルスのRNAポリメラーゼは、 ウイルスの複製(増殖)に中心的な役割を担っているため、新規薬剤ターゲットとしてこれまで注目されてきたが、未だにそのような薬剤は開発されていない。 本研究室では、RNAポリメラーゼの構造生物学的研究と創薬開発の研究を進めている
Heme-regulated inhibitor (HRI) タンパク質の立体構造解析
細胞は、アミノ酸欠乏やウイルス感染等様々な外からの刺激によってその活動が危機的状況になると、 タンパク質合成を抑制することで危機から逃れようとする。この制御は、刺激を感知するタンパク質が翻訳開始因子をリン酸化し、 タンパク質合成を阻害することで行われている。しかし、タンパク質が刺激をどのように感知して翻訳開始因子の リン酸化を制御しているのか、不明な点は数多い。本研究室では、この刺激感知を行う蛋白質の一つであるHRIタンパク質の構造生物学的研究を進めている。HRIはヘム濃度に依存して翻訳開始因子のリン酸化を行っており、HRIがどのようにヘムを感知してリン酸化反応を制御しているのかをその立体構造から明らかにしていく。